ミキプルーンのCMは、私が学生の頃から知っています。
広大なカリフォルニアのイメージと、スプーンからとろりと流れるミキプルーン。
一度でいいから、味わってみたいと思っていたんです。
ですから、CMを撮らせていただくたびに、学生の頃の自分に教えてあげたいって思います。
「あなたは、大人になったらこんなにすごいCMをつくらせてもらうんだよ!」って。
何より大好きな中井貴一さんとご一緒できるっていうことが本当に私にとってはもう一番の幸せです。
毎年一回、贅沢な時間を味わせていただいています。
人生のためになるお話をたくさん聞けることはもちろん、いつもきちんと狙いを持って、良いものをつくろうという志の高さに刺激を受けます。
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新CM完成記念
呉美保監督インタビュー
『帰郷』篇 ,『出発』篇

Q今回でミキプルーンのCMも11作品目になりますね。

Q新CMの企画はどのように生まれたのですか。
ミキプルーンのCMではいつも、人の営みの中にあるちょっとした感情を大事にする企画を考えています。
今回のテーマ「駅」は、誰もが通過する場所であり、誰もが持つ故郷です。
思い出に紐づく場所ですから、映画的にストーリーを伝えられると思い、企画の段階からワクワクしました。
特に今回のキャッチフレーズ「つづく人生に」は、私の映画をつくるときの座右の銘と同じです。
いろいろとあっても人生は続くということを最後に持ち帰ってもらいたいっていうのが、私の映画づくりの指針になっています。
誰もが良い気持ちも悪い気持ちも含めて、悲喜こもごもの中で生きていく。ただ、1つだけ分かっているのは、目の前の人生は続くのだという事実です。
ですから、今回のCMは自分にとっても本当に大切な作品になると思います。

Q新しいCMの魅力を教えてください。
今回は、15秒のCMが2種類(『帰郷』篇、『出発』篇)あり、瀧本美織さん演じる女性が故郷に久々に帰ってきて、中井貴一さん演じる駅員さんと出会い、また出発していく姿を描いています。
顔見知りの2人という設定ですから、瀧本さん演じる女性が辿ってきた人生だったり、中井さん演じる駅員さんが毎日ここに何十年も立ち続けていろいろな人たちを見てきたっていう人生の豊かさだったりを、さりげない会話の中で表現したいと思っていました。豊かな気持ち、懐かしい気持ちを感じて頂けるCMになったのではないかなと思っています。

PROFILE
呉美保
1977年生まれ、三重県出身。スクリプターとして映画界入りし、初長編脚本『酒井家のしあわせ』で、サンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞、06年に同作で映画監督デビュー。
『オカンの嫁入り』(10)で新藤兼人賞金賞を受賞。
『そこのみにて光輝く』(14)でモントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門最優秀監督賞を受賞、併せて米国アカデミー賞国際⻑編映画賞日本代表に選出。
『きみはいい子』(15)はモスクワ国際映画祭にて最優秀アジア映画賞を受賞。
9年ぶりの長編作『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(24)が上海国際映画祭コンペティション部門に選出、国内外で高評価を得る。
映画の他、執筆活動やCMも手掛けている。
最新作『ふつうの子ども』公開中。